ジジイ

初回だけども悲しい話題を書く。

 

私の家の近くにはセブンイレブンがあって、そのセブンの駐輪場にこの前さびれたボロボロのじじいが居た。セブンの買い物袋を2つ自転車のカゴに入れて漕ぎ出そうとしたところで、自転車が転倒したらしく、せっかくカゴに入れたお弁当も飲み物も全て道路にぶちまけられていた。

じじいは40代くらいだろうか、仕事は何をやっているんだろう、見るからに汚く電車で隣に座られたら席を立つような、ホームレスに近いような見映だ。

 

じじいは多少ボケているんだろうか、転倒した自転車とお弁当を見ながら呆けたようになっていた。ショックがうかがえる。人生への失望の目線が、この弁当に注がれていた。ように見えた。見るに耐えない光景だった。

 

普段だったら私は絶対にその袋を拾うし、大丈夫ですかと声をかける。

 

ただそのジジイのあまりの風貌と、声を掛けて私に期待を向けられる事への怖さ、自分の家がすぐ目の前でストーカーにでもなられたら困る、という色々な理由から、目の前で倒れた自転車も弁当もしっかりと目を合わせたままその場を通り過ぎセブンに入った。

 

買い物を済ませ店から出てきたら、ちょうどじじいがこぼれた弁当などをカゴにおさめ、自転車を動かしたところだった。

どれだけの時間を要したのだろう。

たかだか弁当を自転車のカゴに戻すだけで。

どれだけの失望感を味わい誰にも助けられずこれからどんな気持ちで崩れた弁当を食うのだろう。

余計なお世話だという事は分かっているけども、見てられない。醜い。

 

弁当が崩れ困っているのが綺麗なお嬢さんだったら、あの場に居た人皆が揃って手を貸し多少の笑顔がうまれるシーンだっただろう。そう思って苦しくなった。

でも私は時間が逆戻りして同じ事が起こっても、手は貸さないだろう、と自分で確認した。自分の身を守る事の方が大切だ。

ボロ雑巾のような人間が、若い女に手を貸してもらってストーカーになるなんてよくある話だと思う。

 

私は街中でいつもこんな事を考えながら生きている。毎日を過ごしている。

 

ふと心をよぎっても解決できない事、私には把握しきれない事、はたまたとても楽しかった事、そういう事を書いていけたらいいな、と思います。